物件情報を見ていて「なんとなく不安…」「この間取り、ちょっと気になる…」と感じたことはありませんか?
その違和感は、実際の暮らしやすさに直結する大切なサインです。私は設備設計と賃貸仲介の経験から、図面に潜む“後悔につながるポイント”を数多く見てきました。
間取りの使い勝手は、入居後の満足度やストレスの有無に大きく影響します。今回は賃貸マンション・アパートの計画や購入、契約で後悔しないために、間取り図をどのような視点で見ればいいのかを重要ポイントに絞って解説します。
住戸周辺の重要ポイント
間取り図を見るとき、つい部屋の広さや配置ばかりに注目してしまいがちです。
しかし、住戸の価値を左右するのは内部だけではありません。
実は、周囲の環境こそ暮らしやすさに大きく影響します。
この章では、間取り図の細かなチェックに入る前に確認しておきたい「住戸周辺の重要ポイント」について整理します。
図面だけでは見落としやすい部分こそ、後悔を防ぐための大切な判断材料になります。
風の通りが良い
湿度が高い日本の住宅では、カビの発生が住宅の問題になりやすいです。
そのため、風が良く通ることの重要性が高いです。
一方で、マンションやアパートは角部屋でない限り、窓が少なく、通気性や採光性に優れない場合が多いです。
共用廊下が屋外にあるマンションであれば、バルコニー側だけでなく玄関側(共用廊下側)にも窓がある場合が多いです。
ただし、通気性や採光性は周辺環境にもよるので、次題の内容も参考にしてください。
カビや暑さ対策のリスクヘッジ的な側面だけでなく、風が抜けることは住まいの快適性や開放感にもつながります。
窓の外の環境が良い
窓を開けたときに目の前に何があるかは、住戸の快適性に大きく影響します。
現状の景観や日照を確認するだけでなく、今後建設予定のものがないか等、将来も見据えて検討する必要があります。
法規上、隣地にどのような規模・種類の建物が建設される可能性があるかは、都市計画法上の用途地域や、建築基準法の制限で確認することができます。
用途地域や建築制限の確認は、慣れていないと判断が難しい部分でもあります。
「この景観は将来どうなるのか」「隣にどんな建物が建つ可能性があるのか」など、不安が残る場合は、専門家に一度チェックしてもらうと安心です。
間取り・図面の相談ページ(ココナラ)では、用途地域や建築制限を踏まえた第三者チェックを行っています。
契約前の「ちょっと気になる」を解消したい方におすすめです。
周辺機能の位置が適切
見落としがちですが、駐車場や駐輪場、ごみ置き場が遠くないか等、周辺機能の使い勝手を確認するようにしましょう。
また使い勝手だけでなく、住戸の目の前がごみ置き場なんてことがないよう注意が必要です。
その他、公道とマンションの間に隔たりがあるか、ない場合は植栽等で外からエントランスや住戸が見えないようにプライバシーやセキュリティに配慮されているかは要チェックです。
エアコンの設置数・位置が適切
エアコンは、好きな場所に自由に設置できるわけではありません。
室内に取り付ける室内機だけでなく、屋外に置く室外機が必要で、両者は冷媒管でつながっています。
この冷媒管を通すための穴(スリーブ)は、建物の構造上、後から新たに開けることが難しい場合があります。
そのため、エアコンを設置したい部屋の数や位置をあらかじめ想定し、今回の住戸がそれに対応できるかどうかを確認しておくことが大切です。
「この部屋にエアコンを追加できるのか」「室外機はどこに置けるのか」といった点は、入居後の快適さに直結するため、間取り図の段階でチェックしておきたいポイントです。
間取り図を見る際の重要ポイント
動線の長さと経路
間取りを見る際は、部屋の配置だけでなく「動線の長さ」も重要な判断基準になります。
廊下が必要最低限に抑えられているほど、実際に使える居住スペースが多くなり、生活の自由度が高まります。
廊下を短く計画できている住戸は、移動距離が少なく、家具配置の選択肢も広がります。
また、動線が「誰が住むか」に合っているかも大切です。
一般的には、廊下からすべての部屋へアクセスできると利便性が高いとされています。
一方で、子どものいる家庭では、玄関からリビングを必ず通って個室へ向かう動線が、家族のコミュニケーションを促すメリットになることもあります。
さらに、廊下の動線上で扉や建具が干渉しないかといった細部のチェックも欠かせません。
動線は「暮らしやすさ」を左右する重要な要素です。図面の段階でしっかり確認しておくことで、入居後のストレスを大きく減らすことができます。
動線の幅
動線の“長さ”だけでなく、十分な幅が確保されているかも重要なポイントです。
特に家具の搬入・搬出を考えると、廊下や出入口の幅は暮らしやすさに直結します。
一般的には、廊下幅が85cm程度あれば、家具の持ち運びがしやすいとされています。
幅が狭いと、ベッドやソファが通らず、入居時に想定外のトラブルになることもあります。
また、廊下の途中に曲がりが多いと、搬入が難しくなるだけでなく、日常の動線も窮屈に感じやすくなります。
可能な限り曲がりの少ないシンプルな動線が理想です。
動線の幅は「住んでから気づく後悔ポイント」になりやすいため、図面の段階でしっかり確認しておくことが大切です。
凹凸がなく整形な室形状
柱や梁で平面形状や断面形状に段差があると、家具配置に支障が生じる場合があります。
見た目の美しさだけでなく、日常生活における利便性に影響するので、図面でのチェックはもちろん、現地でもしっかり確認することが好ましいです。
図面上の平米数は、この柱の出隅分も含めて算定されている場合があるので、注意が必要です。
また、室形状が整形であることで、リフォーム・リノベーションの自由度が高まります。
家具や什器のレイアウトに自由を生むためです。
長期的に住む、住んでもらうためには、将来的な変更・更新を視野に入れる必要があります。
水回りがまとまっている
水回りがまとまっていることが使い勝手上望ましいのはもちろんのこと、リフォーム・リノベーションの自由度にも影響します。
水回り以外のスペースを大きく確保することで、レイアウトの自由がききやすくなるからです。
余談ですが、リフォーム・リノベーションにおいて、水回り自体の場所を変える場合は、建物構造の諸条件によって、自由度は異なってきます。
水回りの給排水配管は共用部の配管まで横びいていく必要がありますが、その際、配管に勾配が生じます。
水回りが共用部から遠ければ遠いほど(=配管が長くなるほど)、配管を横びくための高さが必要になります。
そのため、階高が十分に確保されているかどうかが水回りのレイアウトの自由度に関わります。
その他、排水管を床の上で共用部の配管まで横びく方式か、床の下で共用部の配管まで横びく方式か、によっても、制約が異なってきます。
詳しく知りたい方は、専門家にヒアリングするとよいでしょう。
キッチン計画
キッチンは間取りの中でも生活動線に大きく影響する設備のひとつです。
まず確認したいのは、キッチンの形式が部屋の広さに合っているかどうかという点です。
アイランド型やカウンターキッチンは開放感がありますが、その分、前面の作業スペースや通路幅をしっかり確保する必要があります。
特にカウンターキッチンの場合、キッチン前の通路幅が十分に取れているかが重要です。
通路が狭いと、調理中に人がすれ違いにくかったり、冷蔵庫の開閉がしづらくなることがあります。
冷蔵庫の設置場所もあらかじめ想定し、動線を妨げない位置に置けるか確認しておきましょう。
一般的に、キッチンの作業通路は80cm程度あると使いやすいとされています。
これより狭いと、調理中の動きが制限され、ストレスにつながることがあります。
キッチンは毎日使う場所だからこそ、間取り図の段階で「使いやすさ」を具体的にイメージしておくことが大切です。
居室が外部に面している
住戸周辺の環境とも関連しますが、居室が外部に面しているかどうかは、通気性や採光性を確保するうえで非常に重要です。風や光がしっかり入る空間は、日々の快適さに直結します。
LDKだけでなく、寝室も外部に面している間取りが望ましいとされています。
窓がない、もしくは外部に面していない寝室は、換気がしづらく、湿気がこもりやすい傾向があります。
間取り図を見る際は、各居室がどの方向に面しているか、窓の位置や大きさは適切か、といった点も合わせて確認しておくと安心です。
収納が十分か
間取り図を見る際は、各部屋に適切な収納スペースが確保されているかを必ず確認したいポイントです。
原則として、各居室に収納またはクローゼットがある間取りが望ましいとされています。
収納量の目安としては、住戸面積に対しておおよそ5%程度の収納スペースがあると、日常的な荷物を無理なく収めやすくなります。
収納が不足していると、部屋に物があふれやすく、居住空間が狭く感じられる原因にもなります。
間取り図の段階で「どこに何をしまうか」をイメージしながら、収納の位置や大きさが生活スタイルに合っているかをチェックしておくことが大切です。
建築士の視点で見る「後悔しない間取り」の判断基準
図面は「間取りの設計図」であると同時に、入居後の暮らしをシミュレーションするための重要な情報源です。
設備設計と賃貸仲介の経験から、動線・収納・採光・設備配置などを総合的にチェックすることで、入居後に後悔しやすいポイントを事前に見抜くことができます。
契約前に図面をしっかり確認することで、「住んでみたら想像と違った」を防ぐことが可能です。
間取り図を正しく読めば後悔しない
物件選びは「条件検索」だけでなく、図面から暮らしを想像する力が大切です。
建築士の視点を取り入れることで、見落としがちな注意点を事前に把握し、後悔しない住まい選びができます。
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